院長Blog
HPVワクチン接種後の慢性疼痛と機能性身体症状について
先日 HPVワクチン接種後の慢性疼痛と機能性身体症状についての講演を聞いてきました。
HPVワクチンは平成25年4月予防接種法に基づき定期接種化されましたが接種後に慢性疼痛や運動障害などの報告があり 現在 積極的勧奨の中止となっております。失神、頭痛、腹痛、睡眠障害、学習意欲の低下、記憶障害など多様な症状が見られ 症状に合致する検査上の異常や身体所見が見つからないため機能性身体症状と言われております。
機能性身体症状とは 症状の訴えや障害の程度が確認できる組織障害の程度に対して大きいのが特徴で 線維筋痛症、慢性疲労症候群、過換気症候群、過敏性腸症候群なども含まれます。また機能性身体症状の一つで骨折や外傷やワクチンを含む注射の直後あるいは遅れて発症する複合性局所疼痛症候群があり発症年齢は思春期女性 更年期女性に多いと言われております。以上より 今言われている症状はHPVワクチン接種をきっかけに発症した疼痛や運動障害を中心とする機能性身体症状と認識されております。
治療は鎮痛剤などの薬剤使用 運動療法、認知行動療法で 現在寛解率は90%以上となっております。特に認知行動療法が有効で 認知行動療法とは痛みで体を動かしても体は悪くならないことを認識してもらい 痛みでつらくても運動、活動を続ける。補助具(杖、車いなど)は使用しない。楽にできる運動を見つけてそれを続けていく。痛みの消失を目標としない(30~40%低減できればOKとする)。緊張を和らげ痛みをやりくりするための方法を工夫する。発症以前にできたことだけでなく新たにやりたいことを目標にしてできることを一つ一つ積み上げていくなど認識と行動を変えていくことで症状を軽減させていくことを言います。
HPVワクチン接種後に生じた症状の治療に係る協力医療機関は全国に85施設あります。