院長Blog
リンゴ病と母子感染について
リンゴ病(パルボウイルスB19)と母子感染について
先日妊婦さんで 子供さんがリンゴ病かかったんですと言って来院された方がおられました。リンゴ病は正式名称伝染性紅斑と言い子供さんがかかる予後良好な感染症ですが妊婦さんがかかると胎児に胎児貧血や胎児水腫を起こす予後不良の感染症です。
リンゴ病と母子感染について説明いたします。リンゴ病は成人では不顕性感染が多く妊婦の20~50%に抗体を持っていると言われております。小児の場合感染後2~3週間の潜伏期間ののち両頬に紅斑、手や足に網目状の発疹がみられ1週間程度で消えます。発疹が出る1週間ほど前に感冒様症状はみられることがあります。
妊婦さんが初感染した場合約20%でウイルスが胎盤を通過し胎児感染を起こしそのうちの20%に胎児貧血や胎児水腫を起こします。胎児水腫は母体感染から9周以内に発症し多くは2~6週に発症します。妊娠28週以降の感染では胎児水腫の発症率は低いです。
一般的に胎児は貧血に対して抵抗性があり症状を呈さず自然に軽快します。ウイルス感染による貧血は一過性で胎児水腫の徴候(胎児水腫、胸水、腹水の貯留)がない場合侵襲的検査の必要性はありません。胎児水腫の34%は自然に軽快すると言われております。
先天性感染の49%は母体に伝染性紅斑の症状はなく 54%は子供さんなど家族に症状が出ていました。母体に症状が出た場合10週未満なら100%に 20週までなら64%に 20~24週なら50%に胎児超音波異常が見られました。
以上より母体がリンゴ病に感染することにより流産や死産の原因となっていることは明らかなため注意が必要と考えます。